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設計ミスの発見とレイアウト変更

 駆動系の設計にミスを見つけた。といっても、もう半年も前の話だ。しまった。これじゃギアが回転しないじゃないか。舵が効かないぞ。得意になって複雑なことをやろうとするからダメなんだ。シンプルなのがいい。そう考えなおした。
 そこで駆動系のレイアウトを、最もオーソドックスななスタン・プロペラに変更する。

スタン・プロペラ

 頭でっかちはダメだ。細部から作り始め、ひとつひとつ動作を確認して、手順を踏んで全体像を作り上げよう。

ペダルの作製

 細部のパーツの中で、最も入力側に位置するのは、ペダルである。こんなパーツも、安易に自転車屋へ行って買ってくるつもりはない。全部手作りする。なぜなら海面に浮かぶボートのパーツなのだから、材質を選び抜かなければ、錆びたり腐食したりするだろうから。そうならないためには自転車用パーツの流用では心もとない。錆びない素材を選んで、手作りする。
 反面、コストを抑えるためにボールベアリング等のぜいたく品は使用できず、あるいは見かけが不格好なものになることはあきらめなければならない。実は自作は却って高くつく。大量生産のマスプロ品には、コストパフォーマンスでは太刀打ちできるわけがない。その代り、材質を自分で選べるメリットがあるというわけだ。
 その材料は、ステンレス製のM8のボルトと、ナイロン樹脂製の車輪である。

ペダルの材料

 ナイロン樹脂製の車輪は、ベアリングとして使用すると同時に、下の写真のように直径部分を残して切り落とし、梁を渡す支柱としても活用する。

車輪の切断

 梁にはステンレス製のM8の長ネジを使用する。長ネジを支柱に接着するために。真っ赤に焼いたボルトを押し当て、ナイロン樹脂を溶かして、半円形の溝を作る。
 この作業中におびただしい煙が出た。それを吸い込んだため、強烈な吐き気に襲われた。さっきの煙はきっと身体に毒だ。
 

ブリッジ

 橋渡しした梁は、足の力がかかる箇所だ。頑丈にするために、糸で入念に縛り、瞬間接着剤で塗り固めた。
 これがペダルとなる。

ペダル

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