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駆動ケースの作製開始

 この部分を何と呼べばいいのか、よくわからない。仮に駆動ケースと呼ぼう。ペダルからシャフトにかけてを格納する、胴体部分だ。この駆動ケースをまたいで座り、ペダルをこぎ、シャフトに動力を発生させ、プロペラに伝達させて回転させる。それと同時に、この部分をステアリングのシャフトが貫き、シャフトの左右の回転で船尾の舵を動かす。つまり、2系統のシャフトがこの部分から伸びるわけだ。
 この駆動ケースは、双胴の船体をまたぐデッキ上に位置するのだから、水没はしない。したがってクランクと直結するメインのギアは、シャフトの両端をボールベアリングで支えることにする。このボールベアリングは耐錆性を考慮して、ステンレス製を選んだが、コストと強度の理由で妥協してある。ボールベアリングの外輪と内輪は、めっぽう錆びに強い300系のステンレスだが、ボールは、強度は高いが錆びには若干弱い400系のステンレスだ。もしボールも300系の材質のベアリングを選べば、コストは数倍に跳ね上がり、若干摩耗の不安が増すことになる。だからボールベアリングは、水中に没するシャフトには使わない。
 まずはボールベアリングを板に埋め込むことから始める。

ステンレス製ボールベアリング

ギアの選択

 ギアは300系ステンレス製のべべルギアだ。メインギアのシャフト穴の直径が12mm、ピニオンギアは10mmだ。ずいぶん大きくて重いギアだが、このギアがどれほど頑丈でなければならないのか、未知数だ。十分な強度を確保しておくに越したことはない。
 ギア比は4:1だ。これだけで4倍に増速するのだが、もう1つ2:1のギアセットをを用いて、8倍に増速する予定でいる。つまり、プロペラシャフトを回す力の、8倍の力が、ギアのシャフトにかかるわけだ。したがって、ギアのシャフトの太さ、すなわち穴の大きさをまず12mmと決め、2番目に目一杯のギア比を探して、ギアを選んだ。

ステンレス製ギア

シャフトの固定方法

 ここで解決しなければならない問題が生じた。ギアにシャフトをどのように固定すればよいかである。普通はシャフトに垂直にボルトをねじ込む。それはシャフトに開けたネジ穴だったり、シャフトの一部平面に対してだ。しかしギアの円盤部の直径は大きく、シャフトに届くネジ穴なんてどうやって開ければいいのだ? 素人にはそんな加工はできない。ここはやはり接着剤を使うしかない。ところが接着剤は熱に弱く、ギアもしくはシャフトに発生する摩擦熱によって剥がれてしまう。ではどうすればいいのか?
 そこで考えたのは、数多くの補助シャフトを埋め込むことだった。まずは下の写真のように、ギアのシャフト穴の周辺に、より小さな穴をたくさん開ける。この穴はそれほど深くなくてもよいし、精度が高くなくてもよい。

多穴化

 次に、この穴に、頭を切り落としたボルトを挿しこみ、それを補助シャフトにする。

補助シャフト

 そして、全体をエポキシ接着剤で覆い、糸を巻いて固定し、さらに上からエポキシ接着剤で塗り固める。こうすればギアとシャフトは何があってもびくともせずに固定される。

固定方法

ケースの貼合わせ

 ステンレス製ボールベアリングを埋め込んだ板を2枚、間にギアを挟んで、ギアのシャフトをボールベアリングに通し、貼り合せる。これが後に駆動ケースとなる原型である。

駆動ケース

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