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 ここからは少しこのウェブページの作成方法を変えることにする。作業の合間に同時並行でページの作成を進めるのは面倒だ。だからまずは作業に集中し、完成させた後で、ポイントだけを写真や動画、文章で説明することにする。

機関ケースの完成

 駆動ケースという呼び方は適切ではないという気がする。スクリュー・プロペラまでをこのケースに収めたわけじゃないから。だからもっと限定して、機関ケースと呼ぶことにしよう。
 機関ケースがようやく完成した。ペダルとステアリングホイールを備え、この2つで後方に位置する予定のプロペラと舵を動かす。私は椅子に座り、ペダルをこぎ、ステアリングホイールを握る。それが下の動画だ。

 この機関ケース、結構な大きさと重さがある。私の軽のワンボックスの荷室に収まるぎりぎりの大きさ(横幅120cm)で、そしてこれまた独りで運べるぎりぎりの重さ約20kgだ。
 本当はもっとコンパクトで軽く作りたかったのだが、初めて作るものだから、ここは強度優先(すなわち安全優先)で行くべきだと判断した。

入力と出力

 この機関ケースの役割は、アングラーのライディングポジションであると同時に、2つの入力と2つの出力を備えている。そのひとつは、クランクの回転を、ギアを介して8倍の速度に増速し、プロペラシャフトに伝えることである。プロペラシャフトは、自在継手を介する予定ではあるが、できる限り一直線を保ちたいので、出力装置の位置は船体の最下部に位置している。これがこのパーツが大きくなってしまった最大の要因だ。

 もうひとつは、舵を動かすためのシャフトである。ステアリングホイールの回転を、最終的に8分の1に減速して、舵を動かす。この機関ケースでは、4分の1までに減速される。

ギアの取り回し

 したがって、機関ケースの内部には、複雑にギアが交差している。それぞれのギアシャフトを適正に固定するために、このパーツは向き合った2枚の板である必要があったのだ。そのために重量が2倍に増したのだが、技術的にはそうせざるを得なかった。

ギアの配置

プロペラシャフト系統の難関

 プロペラシャフトは最終的に、機関ケースの下に突き出した、船体下部に位置するケース内で回転するシャフトに連結する。ここではシャフト同士を直交させつつ、回転を2倍に増速し、なおかつ水中のパーツなので密閉性を保たなければならず、その上水の抵抗を軽減しなくてはならない。
 そこで、骨組みを作って、それを直方体で分厚く覆い、その後に流線型に削るという工程を経た。水中に露出するシャフト先端部には、ケース内に海水が侵入しないように、3重のパッキンを設けた。さらには万が一海水が侵入しても排出できるように、ペットボトルの飲み口を埋め込んだ。

シャフトケース 前から 後ろから

ステアリングシャフト系統の難関

 ステアリングシャフトは、鋭角に折れ曲がって、後方へと向きを変えなければならない。90°ではないその角度をどのようにして実現すればいいか。それはべべルギアによって解決した。本来は大きなギアと小さなギアを組み合わせることによって、いくらかのギア比を伴い、回転軸を直交させるためのものだが、そのうちの小さいギアを2つ組み合わせることによって約45°を実現できた。

角度の実現

 こうしてできた角度を維持しつつ、4分の1に減速し、シャフトを延長して、ステアリングホイールと接続する。苦心したのは、このシャフトが80cmもの長さに達するので、回転ブレをなくすために、ここに自在継手を2つ挿入することだった。

減速ギア ジョイント

 ステアリングホイールも自作だ。本当は出来合いのものを購入して簡単に取り付けたかったのだが、オートバックスへ行っても売っていなかった。最近はここにエアバッグを備えているから、後付けのホイールって、売らなくなったのかもしれない。
 結果として、ギア、シャフト、ボールベアリング以外のパーツは、すべて手作りのものとなった。そのためにこの工程に1年もの時間を要したのだ。もっとも、こればかりやっていたわけではなく、釣りにも行ったし、釣道具いじりもやったんだけどね。
 こうして、機関ケースは完成した。次は駆動パネルへと進んでいく。

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