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シャフトの位置

 クランクの長さは、ギアのシャフトとペダルのシャフトのそれぞれ中心間の距離で、160mmだ。では、ギアのシャフトの位置は? 下からの距離が160mmに近すぎると、ペダルが一番下に来た時にかかとがデッキにつかえる。逆に高すぎると、ライディングポジションが腰高になり、ボート全体の安定性を損なう。さまざまにシミュレーションした結果、250mmが最適と判断した。

ライディングポジション

シャフトとクランクの接着

 ギアシャフトとクランクの接着固定もまた、直角をなす。この場合、ペダルとクランクを直角に接着するのと異なり、接着部にかかる力はてこの原理で何倍にも増幅される。私の脚力に耐えられればいいというだけではなく、その何倍もの力に耐えなくてはならない。
 恐れなければならないのは、接着が剥がれて、クランクがシャフトに対して滑り、空回りすることだ。エポキシ接着剤による金属の接着は、引き剥がそうとする力に対しては強固に耐えても、横滑りの力、あるいはねじりの力に対してはあっけなく剥がれてしまう。だから物理的な構造によって、空回りを防止しなければならない。
 そこで、ギアのシャフトにも、クランクにも、ヤスリで削って平面を設け、平面同士を接着することにした。

シャフトに設けた平面

パッキンの設置

 ギアのシャフトにクランクを接着する前に、ここで、ボールベアリングを海水から守るために、シャフトにパッキンを設置した。材料はゴムのシートであり、直径12mmのシャフトに対して、1mm小さい11mmの穴を開け、ボディーに張り付けた。水圧がかかればこんなものではダメだろうが、海水の滴くらいならこれで遮断することができるだろう。

シャフトのパッキン

サンドイッチ方式

 次に、接着面積の拡大のための方策を考えた。ペダルのシャフトとクランクの接着には、単純な接着面積の拡大の方策として、補助シャフトを加えた。それをさらに発展させることはできないか。そこで、補助シャフトを加えて互い違いに組み合わせ、互いに相手のシャフトを挟み込む形に接着することにした。
 すべてのシャフトの接着面には、平面を削り出した。そうすることにより、接着剤の接着力を、物理的な形状によって補強することができる。これにより、接着面を立体化し、平面同士の接着をはるかに超える強度を付与できるはずだ。

改良型補助シャフト

接着剤のFRP化

 接着剤のエポキシ樹脂は、2液の化学反応によって懸架構造をつくり、全体で1分子となる高分子材なのだそうだ。しかし硬化後の物体は、とても硬いが、爪の先で容易に割れるほど、脆い。そこで接着剤でのみ接着するのではなく、ナイロンモノフィラメントで縛って、その上から接着剤で塗り固める方法で補強した。いわば繊維強化樹脂、FRPだ。
 エポキシ接着剤には粘り気があり、糸の隙間への浸透性が悪いので、糸を巻く作業と、接着剤で塗り固める作業は、少しずつ交互に進めた。

接着剤のFRP化

 残念だが、今季はここで時間切れだ。今は他にやるべきことを山ほど抱えている。この続きは来年以降になるだろう。

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