水平線
章頭
次章
目次

ブレード面の塗装 エポキシ樹脂+紙

 スクリュープロペラを、アルミを削って作った。アルマイト処理などしていない。生のアルミは海水で腐食しやすいだろうから、念入りに塗装しなければならないはずだ。
 塗装と言っても、ペンキを塗るだけでは心もとない。樹脂で厚く覆うほどの堅牢な皮膜を作らなければ、海水は簡単に塗装膜をくぐり抜け、アルミの地金に達するだろう。1カ所でもそのような部分が生じると、腐食が内部に広がって、塗装膜は却って腐食の温床となるに違いない。
 アルミ表面に堅牢で均一な樹脂層を作るにはどうすればいいか? そこで考えたのは、エポキシ樹脂+紙である。エポキシ樹脂を単に塗りたくっても、滴が垂れて均一に塗れないから、表面を紙で覆い、紙の厚さに均一にエポキシを馴染ませようという考えだ。
 まずは下地のエポキシを薄く塗る。簡便に2液式のエポキシ接着剤を流用した。

 下地が必要なのは、ブレード曲面への紙の馴染みが悪いので、強制的に曲面に沿わせるためである。
 水に濡れた紙は張りを失って、曲面にぺったりと貼りつく。水によってセルロース繊維同士の結合が解けるからである。ところがエポキシ樹脂で“濡れ”ても、それと同じことは起こらない。紙は張りを保って、曲面に沿わない。だからアルミ面にも紙にもエポキシを塗って、生乾きの状態で強制的に貼り合せようというわけだ。
 アルミ面にエポキシを塗った直後、今度は紙にもエポキシを塗り、生乾きになるまで両者を放置しておく。

 90分型のエポキシ接着剤は、90分で硬化が完了するのではない。90分後から硬化が始まるのだ。生乾きの状態になるには、4時間ほど待たねばならない。指で触った時にねっとりとへばりつくが、離した時には指には残らない。その状態がベストだ。圧着すればしっかりと接着される。

ブレードエッジの塗装補強

 ブレードの表面と裏面から紙を貼り合せた。その接合部に間隙がある。そこを紙テープで覆う。やり方はさっきと同じである。ブレードと紙テープの両方にエポキシ接着剤を塗り、生乾きになるまで放置する。そして両者を圧着し、接着させる。

 このようにすると、紙一枚の厚さだけ、段差が生じる。ここを埋めるために、後でもう一度、エポキシを塗っておく。

水平線
水平線