水平線
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抵抗の低減

 プロペラの推進力とその効率に関する追求はこれで終わりだ。その形状は実現した。しかし手に取って観察してみれば、まだいくつかの問題点がある。ずっしりと重いこと。ボートの進行方向に対して抵抗となりうる平面があること。そしてブレードの縁に回転の抵抗となりうる厚みがあること。

 ここからの作業は、軽量化と抵抗の低減のために、ブレードを薄く削ることだ。そのための道具は、ノミとヤスリ。単純な力仕事だ。
 それに2週間を費やした。ノミでシャカシャカ、ヤスリでゴシゴシ。大量の削りかすを生んだ。その分、プロペラは軽くなった。ブレードは1cmほど薄くなり、その断面は流線型となった。これでかなり抵抗は減ったはずだ。
 これでよしというところまで削って、最終的に重量は1kgをわずかに切った。

 こうやって眺めてみると、この曲面は不思議な形状だ。らせんを原型としたものなのだが、現物なしでは、その形状がうまく頭に思い浮かばない。私は数学が苦手だから、頭の中に空間を構築することができないのだ。そこには平面が広がるだけだ。ところがこのらせんというのは、回転と直進の2軸を持つ立体であり、空間そのものである。私の頭ではとても太刀打ちできない。
 だからこのプロペラ、無垢の材料から削り出そうとしても、まずできなかった。そこで私は、らせん階段という中間項を置くことにしたのだ。そのため、アルミの短冊を積層して接着するという方法を用いた。その接着強度に不安が残る。しかし大丈夫だ。これから塗装の工程に進むが、その際に接着強度を補う方法で、塗装を施せばいいのだ。プロペラ全体を樹脂で包み込むという方法で。

水平線
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