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リアグリップの接着

 削って整形したリアグリップをブランクに差し込み、エポキシ接着剤で接着する。
 ブランクのバット部の外径は17mm強。その20cm上では約17mm弱。約0.5mmのテーパーがついている。かたやEVAパイプの内径は18mm。したがって下部で0.5mm、上部で1.0mm、穴が大きく、隙間が生じる。その分、タコ糸を巻いて、隙間を埋める。
 穴径17mmのEVAパイプを手に入れればタコ糸は必要ないのだが、外径33mmのEVAパイプの規格は、穴径15mmの次が18mm、その次が22mmとなっており、17mmという規格はない(私の購入先のショップであるマタギでは)。
 しかしタコ糸は単に穴の隙間を埋めるためだけではない。上部に厚く、下部に薄く巻くことにより、ブランクのテーパーを打消すと同時に、接着剤の馴染みをよくする働きがある。
 接着剤の使い方について、私にはこだわりがある。接着剤は、不足するよりは、過剰なほうがずっといい。いくらかでもはみ出していなければ気が済まない。もっとも、外観の美しさのためには、そのはみ出方を最小に抑えはする。しかし、はみ出さないように量を控えるということは決してしない。
 そのはみ出しを最小限に抑えるために、EVAパイプをぐるぐると回転させながら差し込み、接着剤が均等に馴染んでいくようにするとよい。そうすれば、たくさんはみ出していなくても、十分に接着剤が隙間を埋めていることが実感できて安心できる。

リールシートの準備

 リールシートは、2つのパーツを組み合わせて、合体させる。何の変哲もないスピニング用のパイプシート富士DPSの、ナットの部分だけスケルトンタイプの富士SKSSに取り換える。なぜそんなことをするかというと、トリガーグリップに埋め込む部分はシンプルな形状のDPSがいいが、DPSのナットは小さくて締めにくいので、その部分は幅広ナットのSKSSのものを使うのだ。この両者はネジ径とネジピッチが同じなので、パイプの内径が同じものならば、互換性がある。この場合は両者とも16番(実際の内径は15.5mm)を採用した。1本のロッドに2つのリールシートを消費するのだから、富士にとっては悪い話ではあるまい。ここで使うパイプシートが両方ともスピニング用なのは、トリガーは富士に頼らず、その位置を自分で決めたいからである。
 パイプ部分はEVAパイプで覆ってある。そのサイズは外径27mm、内径17mmである。それを40mmに切って、リールフットの当る面だけ平らに削り、リールシートのパイプ部に装着した。内径17mmではきついので、穴を削って少し広げてある。長さがなぜ40mmなのかというと、手持ちのベイトキャスティングリールで試してみて、ネジがもっとも深く締まるものに合わせたからだ。リールによる差は、最大と最小で3mm程度だ。きつく締めると40mmでは長すぎるかもしれないので、ナット側の断面をすり鉢状に削って、余分に1〜2mm程度締めこめるようにしている。
 毎度のロッドビルディングで、デザイン上もっとも苦しむのが、実はこの部分だ。トリガーグリップとEVAパイプの継ぎ目が、イメージ通りうまく処理できない。今回のデザインもうまくいっていない。それは今後の課題だ。

トリガーグリップの接着

 トリガーグリップには大きな力がかかる一方、ブランクが貫通する穴が短いため、接着面が大きくない。したがってしっかりと接着するためには、まず貫通穴の底面をゴム系ボンドでブランクに密着させ、上からエポキシボンドを流し込む。そしてリールシートを挿入する。そうすると、ブランク、トリガーグリップ、リールシートが互いに接着力を補完しあい、強固に固定される。
 それでも不安があった。リールシートはおそらくナイロン系の樹脂だと思うが、ブランクとの間に隙間が少なく、十分に接着剤が回らないと危惧したので、ごく細い糸を巻いて接着剤の馴染みをよくしておいた。動画のその部分はカメラのピント合わせに失敗して画面がぼけているが、ここで行った作業は単にエポキシボンドでパーツを接着しているだけだ。
 ゴム系ボンドはシーリングのためという特殊な使い方をしている。接着はあくまでもエポキシボンドの役割だ。エポキシボンドの利点は、強固な接着、隙間への十分な浸透、そして接着の過程で位置の微調整ができることだ。エポキシボンドには5分硬化型、30分硬化型、90分硬化型と、いくつか種類があるが、じっくりと時間をかけて位置を微調整するために、私はもっぱら90分硬化型を使っている。
 エポキシボンドはA剤とB剤を混ぜて使うが、途中で足りなくなっては困るので、余るぐらいにたくさん混ぜておくことがコツだ。余るのはもったいないが、余った分は硬化の進行を確認するために使える。危険を冒して接着部分を触ったりして硬化を確認するよりも、余ったボンドで確認すればいい。

フロントグリップの接着

 フロントグリップに使うEVAパイプは、穴の大きさが15mmで、ブランクの径に対してぴったりのサイズだ。したがって糸を巻いてブランクの太さとテーパーを修正する余地がない。そこでエポキシ接着剤で直付けすることにする。
 その前に、リールシートのネジ部を延長させるためのハカマを挿入する。そしてハカマとEVAパイプを接続する。
 EVAパイプはブランクに直付けするので、接着剤の馴染みをよくするために、少し工夫が必要だ。フロントグリップのちょうどの位置から接着剤をしごくと接着剤がずれてしまい、フロントグリップの先端部の接着が心もとない。そこでフロントグリップの位置よりも少し前方から接着剤をしごき始めるのだが、そうするとブランクの地肌に接着剤が残ってしまう。それを防ぐために、フロントグリップの前方の位置で、ブランクにビニールテープを巻き、接着剤がブランクにへばりつくのを防ぐ。動画の中では黄色のテープがそれだ。

口輪への樹脂の流し込み

 フロントグリップ、リアグリップの先端には、ウォールナットの端材から削り出した口輪を付けてある。現状ではこの口輪はEVAパイプに接着してあるだけであり、ブランクとは直接接着されていない。
 この口輪の役割は、EVAグリップの先端が欠けたり、こすれて摩耗したりするのを防ぐことだが、それだけではない。ここに接着剤を流し込み、グリップの接着をより強固なものにする役割もある。ただし、エポキシ接着剤は粘度が高く、狭い隙間に流し込むことができないので、ガイドラッピングのコーティング剤を流用する。マタギのバーリーコートだ。これは主剤と硬化剤を丹念に撹拌すると、微細な泡を大量に含んでサラサラの液体になる。それを、さらにドライヤーの熱をも利用しながら、口輪の隙間から流し込む。
 なお、この工程は、木製の口輪に樹脂を含浸させる工程をも兼ねている。ドライヤーの熱で熱して、口輪の内部の空気を膨張させ、それが冷えて収縮するときに、樹脂を木の内部に吸い込ませるのだ。この動画の後、口輪を耐水ペーパーで水研ぎして、余分な樹脂を除去するのだが、その工程はトリガーグリップの水研ぎと同じなので、動画は省いている。
 また、これと同じことをリアグリップにも行うのだが、その作業はこのフロントグリップとまったく同じなので、動画は省いている。

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