水平線
章頭
次章
目次

親指をサミングに専念させる

 親指をサミングに専念させるためには、親指をキャスティングの動作に参加させてはいけない。例えば、親指でスプールを押して、ロッドのスウィングを助けるとか。そうではなくて親指は、ロッドのスウィング面とは垂直方向に動くようにしなければならない。
 さて、今からオーバーヘッドキャストをする。親指をサミングに専念させるグリップは、AとBのどちらだろうか?

グリップ

 答えはAだ。
 Bのグリップは、親指でリールのスプールを押し、親指がスウィングに参加する。スウィングを止めた直後、親指はいきなりスプールを離れ、高度なサミングなどできない。そしてバックラッシュする。他方、Aのグリップは、親指の動きがロッドのスウィングからは独立している。サミングがスウィングのタイミングと連動せず、いつでもブレーキを強めたり弱めたりできる。

ロッドの裏切り

 ところがロッドに目を移すと、ストレートなダブルハンドロッドは、Aのグリップを拒もうとする。Aの写真を基にした下の図から想像してほしい。リール、トリガー、バットエンドの位置関係と、グリップの向きを。

問題点

 中指・薬指・小指が握っているはずのものは、身体の右側を向いている(赤の矢印)。それが自然な手首の角度だ。ところが実際のロッドは、いくぶん身体の左側に向かう(グレーのシルエット)。なぜならそこにバットエンドを握るべく、左手が待ち構えているからだ。これがストレートな形状のダブルハンドロッドが抱える矛盾である。
 この矛盾を解決するために、右手は無意識のうちにBのグリップを選択しようとする。アングラーが意識的にそれを拒まない限りは。かくしてバックラッシュが多発することになるのだ。

水平線
水平線