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機関部の作製

 機関部の作製についても、軽量化の使命は負っている。そのための基本的なプランは、モノコックボディー化である。すなわち、木材で骨組みを作るのではなく、合板で外殻を作り、内部を空洞とするのだ。そしてその空洞の中に、ギアやシャフトや軸受けを収める。
 モノコック構造は、船体で実証されたように、骨格がないため軽くなりつつ、十分な強度を実現できる。しかもその工程は、合板を切って貼るだけなので、作製に費やす労力がごく僅かで済むのだ。

モノコックボディー

 また、できるだけ工期を短縮するために、第2期および2.5期で作成したパーツのうち、正常に機能するものはそのまま使う。強度に欠点があったものは、補強して使う。最初から新たに作成する必要があるのは、スクリュー・プロペラと舵板ぐらいのものだ。
 その一方で、新たな機構を付け加える必要がある。それはスクリュー・プロペラと舵板の保護機構である。第1期、第2期と経験を重ねるにつれ軽量化を図ってきたし、今第3期ではさらに軽量化するつもりではあるが、現状ではまだまだ重量がある。船体の下にはみ出すプロペラと舵板が、砂浜でボートを引きずった時に、ボートの自重で破損しないよう、折りたたんでおけるようにしたい。波打ち際からの出航時には折りたたんであって、ある程度の水深のある場所まで出てから、プロペラと舵板を船体よりも下に延ばすのだ。そのためには、今回船体の前後のジョイントに使ってみた蝶番をここでも活用するのが、簡便でいいのではないだろうか。
 舵板にはバネを仕込んで、沖に出たら自動的に伸びるようにしておけばいいだろう。そうすれば、逆に浜に帰ってくるときは、砂底に擦って自動でたためるだろう。しかしプロペラはペダルと固定するので、バネの力では漕ぐ力に負けてしまう。だから伸ばした状態でロックする機構が必要になる。

駆動系の構造

 駆動系は、前作においては、2つのパーツに分かれていた。搭乗者がまたがる機関ケースと、船尾の駆動パネルである。それぞれにギアを内蔵し、機関ケースで4倍速、駆動パネルでさらに2倍速、合計8倍速にペダルの回転を増速していた。今回は駆動パネルは備えず、プロペラは機関ケースの直下で回転させるようにする。
 ペダルおよび4倍速のギアセットは、前作から取り外し、そのまま再利用する。これによってずいぶん作業を省略することができる。

ペダルの移植

 ただしその結果、駆動パネルの2倍速のギアは省略することになるので、ペダルの回転の4倍速で、プロペラを回転させることにる。したがってプロペラは低速回転仕様に設計しなければならない。
 浅瀬でプロペラの損傷を防ぐための駆動系の保護機構は、下の動画のように、折りたたみ式である。出航時に砂浜を引きずり、浅瀬に浮かんでいる状態では、プロペラが船体下部から突出しないように折りたたんでおく。水深のある場所まで進んでから、プロペラを出すのだ。なお、動画では機関ケースは逆さに置いてある。

 動画の中では、ロックするためにレバーを操作しているが、本来は自動でロックがかかるはずだった。機関ケースの中に、下の写真のようなラッチ機構を設けたのだが、バネの力が弱すぎて、自動でラッチが飛び出してロックがかかるようには機能しなかった。とは言っても、レバーでラッチを出し入れすることができるので、問題はない。

ラッチ機構

操舵系の構造

 舵板は新規に、前作よりも軽く、抵抗少なく作る必要があるが、それをコントロールするステアリングホイールとギア部分は、前作のものをそのまま再利用できる。

操舵系の移植

 舵板も、折りたためるようにする。ただし、舵板にはペダルほどの力が加わらないので、その折りたたみには簡便にバネを利用した。

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