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黒モデルへの変更

 この春、1984年製の5500Cが、レベルワインダーの不調を起こした。左へ寄ったまま動かなくなったのだ。沖の遠くでブリがボイルしているのだが、こうなってしまっては釣りを続けることができない。がっかりして家に帰り、1979年製5500Cに自作の重要パーツを移した。
 私の5500Cは稼働率が悪い。旧型5500Cを2台フィールドに持ち出しているのだが、錆び対策に自作したパーツであるステンレス製クリックホイールは1個しかない。だから2台のうち常に1台が休眠中だ。
 それもこれで終わる。レベルワインダーを修理して、今回新たに自作したクリック付きマルチディスク・ドラグをフィールドに投入すれば、2台体制が実現できる。そう思って、釣道具屋を通じて、ピュア・フィッシングに修理を依頼した。
 ついでに腐食したカップも交換してもらおう。海水に侵されてずいぶんひどいことになっている。カップの縁が穴だらけだ。だけどカップの交換は断られるかもしれない。パーツがもう残っていないだろう。だから、色が変わってもかまわないからと、望みを託した。

腐食穴

 依頼したことは3つ。レベルワインダーの修理、カップの交換、ハンドル・リテーナーを止めるネジの交換。ところが、その結果はがっかりするものだった。すべて断られた。「生産中止より相当年数が経過しており・・・」といういつもの書面付きだった。

修理不可

 カップのパーツ在庫がもうないのは仕方がない。新型と旧型で形状が異なるのだから、パーツ在庫は新型に切り替えられ、いつか旧型のパーツは底をつく。だからこそ大切に使わなければ、とも思う。
 がっかりしたのはレベルワインダーだ。旧型も新型もこのパーツは共通で、互換性があるのに、なぜ修理を断るのか? 担当者が互換性があることを知らないのか? 「代用パーツも探させていただきましたが・・・」なんて言ってるけど、本当に探したのか? それとも企業買収前の古い製品のユーザーに対する、これは継子いじめみたいなものなのか? だったら今度は、修理の依頼という形ではなく、パーツ番号を指定したパーツ購入という形で申し入れてみよう。
 3つ目のリテーナーのネジはもういいや。ホームセンターで売っているM3のネジで合うから。それを短く切ってヤスリで切断面をきれいにすれば・・・。そういうのがめんどくさいから、ピュア・フィッシングに頼んだのだが。
 ・・・そういう事情で、今回は84年製5500Cの修理を諦め、中古で買った黒の5500Cを新たにフィールド投入することにする。

自作パーツの組み込み

 下の動画は、分解してパーツを洗浄し、さび止め剤を塗布した黒の5500Cに、自作パーツを組み込みつつ、組み立てをしているだけものだ。25分もの長さがあるが、めぼしい情報は何も含まれていない。組み立て方を解説した親切なものでもない。単なる作業風景だ。
 自作パーツ、あるいは加工したパーツは、この数章で説明したクリック付きドラグ・ワッシャー、5.3:1のギアセット、ステンレス製ハンドル以外に、もうひとつある。これについてはこの章では詳しくは触れていない。それは黒い樹脂製のメインギア・ブッシュに対するスリーブの代わりに組み込んだ、ボールベアリングだ。

フィールド・テスト

 組み立て上がった黒の5500Cを持ち出し、フィールド・テストを行った。スプール周りはいじっていないので、キャスティング性能は当然初期の性能を保っている。リトリーブでは、組み込んだ5.3:1のギアセットが問題なく作動していることが分かる。45mmのステンレス製自作ハンドルも問題ない。ハンドルの重量が増した分、タックル・バランスが改善し、ロッドの重心がいくぶんリールに近づいたのが感じられる。キャスト・フィールがソフトになった。ソフト過ぎるのは嫌いだが、これぐらいならいいだろう。
 ドラグ性能だけは、大魚をヒットさせて走られてみないとテストにならないが、ヒットしたのはダツのみだった。

 これで、旧型5500Cのチューニングの前半を終わる。ここまでのことは過去の経験の焼き直し、もしくは改良だ。この先予定されている後半では、今まで取り組んだことのない、前人未到の領域にいよいよ踏み込む。今はやるべきことが多すぎて時間が足りないので、後半は秋以降に再開する。

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