水平線
章頭
次章
目次

カウンター・バランサーの作製

 できればこの作業はやりたくなかった。M16のぶっといステンレスボルトからの、カウンター・バランサーの削り出しである。削り取る分量が並大抵ではない。
 機能としては単なる錘にすぎないから、形状に難しいところはなにもない。たとえ工作の精度が悪くても、見た目が損なわれるだけで、何の障害もない。したがって作業的には、なんてことはない。電動ドリルに装着して、延々、ひたすら削るだけだ。
 ただ、バランスだけはしっかりと実現しなければならない。これを怠ると、キャスト時に勝手にハンドルが回ってクラッチがつながり、ギャーッとリールが悲鳴を上げることになる。そこでシーソーに載せたり、糸で吊り下げたり、ドリルに装着して回転させるなど、様々な方法でバランスを確認しながら作業を進めた。

バランサーのカシメ止め

 できあがったバランサーは、直径3mmの穴が開いている。そこに短いシャフトを挿しこんで接着し、シャフトをハンドルプレートに挿す。それを裏から金槌で叩いて、カシメる。

 動画では机の上で遠慮がちに叩いているが、そもそもこれは部屋の中でやれるような作業ではない。実際には外へ出てガンガン叩いた。アルミや真鍮に比べて、ステンレスはカシメにくい金属だと思うが、上手くいった。

完成

 これでステンレス製ハンドルは完成した。結局のところずっしりと重くなってしまったが、海水で腐食するようなヤワなアルミハンドルよりはずっといい。
 前作がハンドル長40mm、今回が45mm。5mm伸ばしただけだが、ノブを大型にしたことと、しっかりと釣り合うバランサーを付けたことにより、並べて比較するとずいぶん大きくなった印象がある。とはいっても、T字型のノブを備えたハンドルと比べれば、同じ長さでも、かなりコンパクトだ。意図したことの1つは、がっちり握って肘で回すタイプのハンドルではなく、手首で力強くもコンパクトに巻くことのできるハンドルだ。その限界が45mmという長さだったのだ。

比較

水平線
水平線