アクリル板によるらせん階段の作製
アクリルの短冊は、長さ30cm、幅2cm、厚さ3mmである。1枚重ねるごとに13.5mmずつずらして積み重ねてゆけば、ブレード先端部の角度は12°強になる。この角度で、プロペラの回転数16回転/秒のときに、時速12kmの水流を発生させることができる。
あらかじめサンドペーパーで表面を荒らしておき、たっぷりのアロンアルファで接着した。作った短冊は24枚だったが、22枚積み重ねた時点でもう十分と判断し、2枚を余らせた。
この作業により知ったのだが、アロンアルファの発する気体によって目が痛くなるばかりでなく、耐えがたい吐き気を催した。きっとかなりの毒性があるに違いない。できあがったばかりの生乾きのこのらせん階段、慌てて窓の外に放り出した。
円柱部の作製
プロペラのブレードはなだらかな局面を描いており、中心部に行けばいくほど角度が立つ。ブレードの角度が立っていると、理論上はともかく、実用的な速度域では、水を後方に飛ばすよりも、ぐるぐる撹拌することにエネルギーが費やされて抵抗が増す。だからこの部分は円筒で覆ってしまう。
ただしこの円筒をパテで作ろうとしたがために、前回のアルミ製プロペラでは失敗を招いた。重くなりすぎたのだ。だからこの部分を、今回はブレードと同じくアクリル板で作る。
ブレード面の整形
ここからの作業は、らせん階段を滑らかに整形するために、段差を削り取ってゆく作業だ。この作業を通じて、アクリルの手強さを痛感した。プラスティックだから金属よりも削りやすいというのは間違いだ。アクリルの表面は硬く滑りやすいために、60番の粗いサンドペーパーが全然食いつかない。布ヤスリ、木工用、耐水ペーパー、束ねたのこぎり刃、さらにはプラスティック専用のかんなのようなもの、さまざま試したが、どれも切り札とはならなかった。
サンドペーパーで擦ると、アクリルは小麦粉のような微細な白い粉を出す。おがくずのような粗い粉になって、がりがり削れることを想像していたのだが、まったく違った。サンドペーパーで段差を削り取ろうというのは、下手すると1年ぐらいかかりそうな、気の遠くなる作業だ。
唯一有効なのはグラインダーだった。消しゴムのかすのようなものを出しながらみるみる削れる。しかしそれは削っているのではなくて、摩擦熱で溶かしているのだ。残念ながらグラインダーは縁にしか使えず、ブレード面はサンドペーパーで擦るしかなかった。