2500Cの遠心ブレーキの欠点
2500Cの遠心ブレーキには欠点がある。ブレーキドラムの材質がアルミであることだ。5500Cなどと異なり、ドラムが独立して設計されているのではなく、スプールの土手の内側を、ブレーキドラムとしても機能させている。そのスプールの土手がアルミ製なのだ。
このパーツは全体的に黒くアルマイト処理されているのだが、ブレーキブロックが当たる部分はそれが削り取られている。私は当初誤解していたのだが、これはブレーキブロックに擦られてそうなったのではなく、新品のときからそうなっているのだ。私にはわからないが、摩擦面にアルマイトというのは何か不都合でもあるのかもしれない。
2500Cでのこのパーツに相当するものは、5500Cなどでは、ブレーキドラムとしてのみ機能する独立のパーツが、メカプレートの裏側にカシメられており、その材質は真鍮に硬質メッキが施されたものだ。
真鍮に硬質メッキの材質でさえ、長年の使用でメッキは削り取られ、真鍮の地金が露出してくる。2500Cの、アルミのドラムは弱すぎる。
とは言っても、目に見えて削られるのはドラムの方ではなくて、ブレーキブロックの方だ。もしかすると、アルミは軟らかいから悪いのではなくて、表面が滑らかではないために、ブレーキブロックが削られるのかもしれない。ブロックが削られるほどの摩擦が生じるのであれば、遠心ブレーキが効きすぎるのではないかと思うが、実際2500Cのブレーキブロックは効き過ぎを抑えるためか、とても小さいものだ。このことが矛盾を生じる。削られて小さくなるのなら、本来は大きくなければ、パーツの寿命が短くなってしまうではないか。
ところで、なぜアルミは、何万回転もするブレーキブロックに擦られて、滑らかさを増さないのだろうか? もしかすると逆に、削られることによって、ざらざらに毛羽立つ性質があるのだろうか? いずれにしても、そもそもアルミは海水で腐食するから、滑らかさを保つことはできないのだ。だからここがアルミではダメなのだ。
そこで、遠心ブレーキそのものをキャンセルし、他のブレーキで置き換えようと試みた。その切り札が非接触型のタービンブレーキだったのだが、残念ながら当初企図した構造では実現できず、プランB(代替策)でしか5500Cに実現することができなかった。そのプランBは、構造上の問題で、5500Cには実現できても、2500Cには組み込むことができないのだ。
ブレーキドラムのステンレスカバー
そこで、別の方法を選択しなければならない。とは言っても、その方法はすでに何年も前に確立している。ブレーキドラムの内側に、ステンレスの輪っかを装着するのである。
下の写真は、2500Cと兄弟モデルの、1500Cのブレーキドラムだ。私の1500Cは、かつては堤防のスズキ釣りやソウダガツオ釣りに、最近ではベイトのふかせ釣りに、大いに活躍した。そして最近、1500C/2500Cにとって宿命の、ピニオンギアのスプールとの勘合部の摩耗により、戦列を離れた。
この1500Cのブレーキドラムの内側には、ステンレスの輪っかを装着してあり、長年にわたりブレーキブロックで擦られても、ピカピカの光沢を維持している。いやむしろ、ブレーキブロックで擦られて、ますますピカピカに磨かれたようにも見える。その間、遠心ブレーキは問題なく働き続け、ブレーキブロックが急速に摩耗してゆく現象は抑えられた。
それは問題解決の成功例だった。しかしあまりにも地味な改良だったので、それでは私の野心を満たすことができず、いっとき華々しいタービンブレーキに熱中したというわけだ。そのタービンブレーキは、5500Cで立派に稼働している。
いまや地道な小改良に立ち返るべき時だ。2500Cにも、1500Cと同じく、ステンレスの輪っかを装着しよう。