ペダルボート 第2.5期の開始
2艘目のボートも失敗に終わった。しかしこの失敗は部分的であり、丸ごと廃棄して全部を作り替える必要まではない。問題があったのは駆動系のみ。そこだけを除去して、作り直すことができる。
その一方でこのボートの、手直しのできない欠点も浮かび上がっている。そう、それは「失敗」ではない。あくまでも「欠点」というべきものだ。安定性重視の結果としてずんぐりとした形状をしており、船体が重く、それらの結果として船足が鈍重なこと。しかしその解決は第3期の取り組みに先送りすることにして、今は失敗した部分の修復を行う。だからこれは第2.5期なのだ。
2点の修復ヶ所
部分的な失敗は、駆動系に限定される。
(1)ベベルギアのピニオン側シャフトの軸受が弱く、たわみが生じて、ギア同士が離れ、歯が飛ぶこと。
(2)クランクとペダルの接続の強度が足りず、直角に交差して結合した部分が破壊されたこと。
この2点を解決しなければならない。逆に言えば、それだけで事足りるのだ。
ギアの材質
ナイロン製のギアではやはりだめだ。シャフトだけではなく、ギア自身もたわむ。今回はそれを避けるために、鉄製のベベルギアを選んだ。黒染めの表面処理がされている。モジュール数は2、ギア比は4である。
なぜステンレスではなく、錆びに弱い鉄製なのかというと、今回の取り組みでは、一体型ギアボックスの中でガッチリと両シャフトを保持し、シャフトが絶対にたわまないようにするつもりだからだ。その副産物として、ギアがボックス内に密閉され、海水に晒されることはなくなる。だから鉄製でも錆びないだろうと判断したのだ。
シャフトとの接続
ギアとシャフトの固定には、もはや当然のようにクロスピンを用いる。しかしメインギアは直径がとても大きいので、直接ギアを貫通させる穴は開けられない。そこで支柱を立てて、支柱とクロスピンを交差させた。
両軸受け
メインギアとピニオンギア、2つの回転軸は直交する。したがって、特にピニオンギアのシャフトの軸受けの配置は、大きな制約を受ける。それでも設計を凝らして、メインギアはもちろんのこと、ピニオンギアのシャフトも両軸受けとし、ボールベアリングで両側からがっちり保持する。そしてそれらを一体化し、ギアボックス化する。
下の写真はギアボックスをまだ密閉する前の状態だ。両ギアとも両軸受けなのがわかる。
ギアボックス化と密閉
6面のすべてを板で覆い、ギアボックス化した。これでシャフトのたわみを防止でき、海水の侵入をシャットアウトできる半面、メンテナンスのためにギアにアクセスすることもできない。
破損した駆動系を除去した後、今回作成の密閉したギアボックスを設置した。密閉性を高めるため、ボールベアリングをグリスでべっちょりと覆い、ギアボックスから突き出す3本のシャフトのすべてにゴム製のパッキンを装着した。
クランクとペダルの作製
前回はクランクをステンレスの棒で作ったのが失敗だった。ペダルのシャフトとの接続が、ほんのわずかの面積で接地するだけだった。補強にタコ糸でぐるぐる巻きにしてエポキシを塗ったが、強度が足りなかった。
もっと強固な材質で作れないか。そこで一種のFRP、エポキシを染み込ませたボール紙の積層で作ることにした。この方法は、すでにプロペラ・スクリューの作製で実績がある。これだと強度も出せるし、形状も自在だ。欠点はずっしりと重くなることか。
ついでにペダルも同じ方法で作った。
シャフトとの接続
クランク自体の強度が十分でも、それだけではダメだ。肝心なのはメインギアのシャフトとの接続固定の強度だ。
もちろん、ここでもクロスピンを使う。しかし1本では心もとない。2本のピンを挿し、たっぷりのエポキシ接着剤で埋め込んだ。
作業の完成
こうして作業はほぼ終了した。あとはオレンジのペンキで色を塗るだけだ。
さぁ、次かその次の休みにうまい具合に凪の日があったら、再度の試運転に臨もう!