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駆動パネルの完成

 スクリュープロペラが完成し、それに塗装を施した。その後、舵板を作り、それにも塗装を施した。これらを駆動パネルにセットし、蓋をした。写真はまだ蓋をする前の状態である。

駆動パネル

 この駆動パネルは、半分水中に没するので、防水性には気を遣う。接着には粘度の高いエポキシ接着剤を使用した。それでも隙間ができる。何度もその隙間を埋めて、密閉した。
 しかし、全部を密閉することができないのだ。3ヶ所に開いたギアの窓。ことに、スクリュープロペラを回転させるマイタギア。完全に水中に没する位置にある。ここはシャフトの軸受けが水中に露出する。すると軸受けとシャフトの隙間から水が入るだろう。そこから侵入した海水が、駆動パネルの内部全域に行き渡らないようにしなければならない。
 シャフトと軸受けの間にパッキンを挟むか? いや、それは回転の抵抗になる。だからシャフトを通すトンネルを作り、そのトンネルの中に水が入っても、そこから内部には侵入しないようにした。

塗装

 船体をはじめ、各パーツの塗装には、複数の目的がある。
 船体を白くしたのは、サメ除けである。アザラシと間違えられてホオジロザメに襲われては堪らない。シャチは知能が高いから、そんな間違いは侵さないだろう。サメは魚だし、硬骨魚類よりも原始的な軟骨魚だから、知能は低いんじゃないか? 水面に浮かぶ黒いものはみんなアザラシと思うのではないだろうか? そしてとりあえずかじってみると・・・。
 サメのことを考えないなら、本当は黒がいいんだ。エポキシは紫外線で劣化するから、黒い塗装で完全に日光を遮断したい。でも、白でもそれはできるんじゃないかな。
 そして最後の目的が、密閉性の補強だ。エポキシでは合板の貼り合わせに不安があったから、隙間やピンホールをペンキで埋めたいのだ。
 この3つ目の目的は、想定して正解だった。この目的のために、プロが使う、非常に高価な2液式のウレタン塗料を購入した。使ってみると、ホームセンターで売っているものとは全然違う。まず、手に付いたら1週間は取れない。安い水性のペンキなら、乾いた後も水で洗えばボロボロと剥がれる。しかし2液式ウレタン塗料は、ふろに入ってゴシゴシ擦っても、びくともしない。やっぱりプロが使うだけあって、塗膜の堅牢さが全然違う。
 さらに、伸びの良さも、驚くほどだ。容器のへりから滴が垂れたとき、このプロ仕様ウレタン塗料は、ビヨ〜ンと糸を引いて伸びる。そしてそのまま乾くのだ。この伸びの良さそのものには期待していなかった。しかし、それが密着性の高さにつながるなら、大いに歓迎すべき性質だ。

糸を引く

 そして、期待通りのことが起こった。
 船体にピンホールがあった場合、ペンキの塗膜で塞げるかどうか、不安があった。内部の空気の膨張や収縮によって、そのピンホールは空気を吸ったり吐いたり、いわば呼吸をしている。だから塗料やエポキシでは穴は塞げないかもしれない。しかし最悪でも、白の塗料なら、そのピンホールは黒く目立つはず。場所さえわかれば、パテをヘラで擦りこみ、上からガムテープを貼って、力ずくで穴を塞ぐことができる。
 この機能は予想以上だった。白のウレタン塗料は、面白い方法でピンホールの存在を教えてくれた。

ピンホールにできた風船

 プーっと風船を膨らませたのだ。普通の安いペンキではこうはなるまい。極度に伸びが良いために、このような現象が起きたのだろう。
 風船だけではなく、想像通りの黒い点や亀裂も、白の塗面ではよく目立ってくれた。

ピンホールにできた黒い点

ピンホールにできた亀裂

 このピンホール問題は、もう1艘新たにボートを作ることがあるなら、そのときにはもっと根本的な解決策を講じなければなるまい。
 さて、船体以外の、防水密閉性の必要のない部分については、ホームセンターで買ったオレンジの水性エマルジョン系のペンキを塗っておいた。海面でオレンジは目立つ色だからだ。他の船舶との衝突の防止や、遭難した場合の発見のしやすさなどから、赤旗を立てるだけではなく、ボートのカラーでも目立つ必要があるとの判断だ。

進水式へ

 その他の細かなパーツの作製記録は省く。
 さあ、これでボートの各パーツは完成だ。次はいよいよ進水式および処女航海に向けて、最後の調整に入る。それは組付け精度、すなわちパーツ同士の接合の位置と角度に関する微調整だ。

水平線
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