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ツインカム化

 ∞カムは実にいいアイデアだと思った。だからこのアイデアの欠点を、どうすれば克服できるのか、知恵を絞った。そして私は答えを見出した。ツインカム化すればいいのだ。
 カムが∞カム1つだと、前頁で述べた通り、3箇所で回転子が迷う。しかし、もう1組み回転子とカムがあれば、その3箇所での回転子の動きを制限できるだろう。
 その場合、もう1つ追加する回転子は、中心角が元の回転子とずれていなければならない。ずれてなければ、同時に迷う。ずれているからこそ、片方の回転子が迷うタイミングで、もう片方の回転子が迷わない。
 そして2つの回転子の軌跡は、交差してはならない。交差すれば十字路ができて、そこでもまた回転子が迷うことになるからだ。
 どうすればそれを実現できるだろうか? ここで再び、カムを固定させて、相対的にギアが動くものとして、作図してみた。

ツインカム

 カムがこの形状で、2つの回転子が内と外の2つの軌跡を描けば、互いに軌跡をひとつに制限し合って、迷うことがなくなる。これで問題は解決できるはずだ。
 これもまた、アニメーションで確認してみよう。例によってアニメーションの精度が悪く、理屈に合わない動きが見られるが、それは図形のゆがみのせいである。

迷い

 さあ、設計はできた。無限ツインカムだなんて、なんかホンダのスポーツカーみたいだな。
 けどね、ほんとにこれ、やるのか? こんなの作ろうと思ったら、どれだけの時間がかかるんだ? ただでさえ、やるべきことが多すぎで、釣りに行く回数を削らざるを得ないというのに? こんなの本末転倒だよ。
 おまけにスピニングだぞ。おれがやるべきことなのか? カーディナルって、いまだに根強い人気がある。ネット上にカーディナルのチューニング記事はたくさんある。何もベイト使いのおれなんかがやらなくても・・・。

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