さらなる失敗
最初の失敗はこうだった。ピニオンギアのスプールとの嵌合部をステンレスで削り出し、それを瞬間接着剤でピニオンギアに固定したのだが、そんなものは実釣のほんの一瞬で、ぽろりと外れた。
次の失敗はこうだった。瞬間接着剤では話にならないと考え、銀ロウを使ってロウ付けしたのだが、1年半ほどの使用に耐えた後、ドラグの調整中にガリッと外れた。中を開けてみると、嵌合部だけではなく、ピニオンギアも真っ黒に染まっていた。さては海水で銀ロウが溶けたな。それで溶け出した銀イオンが化学反応で変色して黒くなったに違いない。うーむ、ロウ付けもダメか。
その後、数か月もの間、壊れたままの2500Cを放置した。代替機となるはずのレボも、クラッチを切ったが最後、二度と繋がらなくなってしまっていた。さらにそのバックアップのディサイダ―も、とっくにレベルワインダーが動かなくなって、埃をかぶったままだ。このクラスで使えるリールがない。仕方がないので、観賞用にとっておいたマーヴェリック3600を、たいそうな木箱から取り出した。これって昔で言うフルーガー? それともシェイクスピア?
まったく情けない話だった。ボート作りにかまけて、タックルのメンテナンスやチューニングをおろそかにし、気が付いたらどのリールも戦力外。これでよく「ベイトタックル研究所」などと名乗れたものだ。
そんなふうに考えて、ボート作りは別の媒体で独立のテーマとしてやることにして、これより当サイトは本来のテーマに復帰する。で、手始めに、どこから再開する? ヒラマサ用の5500C? ヒラスズキ用のレボ? いや、ここはひとつ初心に返ろう。私の原点、それはマルスズキのキャスティングゲームだ。それを2500Cでやる。2500Cのピニオン強化に、3度目の正直で挑む。
発想を変える
直面する課題はこうなのだ。下図にあるAとBの2つのパーツを強固に結合したい。
そうすると、ひとつの下図のようなものになる。本来これはひとつのパーツだったのだが、材質を強化するために、わざわざBのパーツをステンレスで作り、もともとあった真鍮の部分を除去して入れ替えようというのだ。
そこでその結合方法が問題になるのだが、カシメがダメ、接着剤でもダメ、ロウ付けもダメ。他に方法が見つからないのだ。
そこで大きく発想を変えてみる。嵌合口をシャフトに固定しようとするから行き詰るんじゃないか? だったら最初から一体のものとして作ればいいじゃないか。そこにピニオンギアを固定すればいい。それは、そう、例えばネジによって。つまり下図のように。
いや、これではダメだ。ハンドルからメインギア、そしてピニオンギア、シャフト、スプールとの勘合部、そしてスプールへと力が加わる向きを考えると、ネジが緩む方向だとわかる。これはまずい。だから逆向きのネジでないといけない。いわゆる逆ネジとか左ネジとか呼ばれているやつだ。だいじょうぶ。ピニオンギアにネジを切るための逆ネジ用タップも含めて、それらはモノタロウで簡単に手に入る。
だから正解は下図の通りだ。
新たな問題
ここで新たな問題に直面する。現状ではピニオンギアにはステンレスのシャフトが埋め込まれている。このシャフトを取り除き、ピニオンギアに逆ネジを切り、新たなシャフトにネジ込む。で、古いシャフトをどうやってピニオンギアから抜けばよいのか?