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シャフト形状の推測

 ピニオンギアに刺さったシャフトを抜く作業に取り掛かる。
 シャフトはピニオンギアの内部で、どのような形状をしているのだろうか? 外に出ている部分の直径は3mmだが、この直径のままストレートに刺さっているだけだろうか? それならハンマーで叩くなどすれば、シャフトは簡単に抜けるだろう。
 しかし、釣りで使用中にシャフトが抜けないように、内部にミミズの腹巻のような段差が設けられたりはしていないだろうか? あるいは下図のような魚のヒレのようなものが? もしそうだとすれば、シャフトをハンマーで叩いて抜こうとすれば、ピニオンギアを破壊してしまうことになる。

シャフトのヒレ

試しに叩いてみる

 あれこれ心配することに時間を費やし過ぎた。それは無駄だ。シャフトが抜けなければ、ピニオンギアの強化作業ができない。とすると2500Cは実用に耐えない、欠陥を抱えたリールのままだ。そんなもの、私の手元に置いておく価値はない。だったらピニオンギアを破壊してしまうかもしれないという心配はいらない。その時は2500Cそのものとお別れだから。

 上の作業の結果、シャフトをいくらかずらすことができた。どうやらシャフトはまっすぐな形状で、ピニオンギアに刺さっていただけのようだ。そりゃそうだろう。現状ではピニオンギアは嵌合部と一体のものであり、シャフトにはねじりの力は働いていないのだから。シャフトの役割は、クラッチ操作でピニオンギアがスライドするだけのものだ。

ずれたシャフト

押し出す方法

 そこで次の課題だ。ハンマーで叩くことによって、シャフトをピニオンギアの中でスライドさせられることはわかった。しかしそれだけでは最終的に抜くことができない。直径3mmのシャフトより細い、例えば直径2mmの釘かなにかを当てがって、押し出すように叩かねばならない。
 いや、もっといい方法がある。シャフトのピニオンから外に出ている部分を細く削ればいいのだ。さっそく、電動ドリルで回転させ、ヤスリを当てがって、ほんの少し細く削った。なおこの作業では、ギアの歯の保護のため、ワッシャーを1枚装着した。

 こうしておいて、ハンマーで叩くと、シャフトはポロリと抜けた。

シャフトの形状判明

 シャフトが抜けたので、その形状が判明した。ピニオンギアに埋まっていた部分も、まっすぐ直径3mmではあったが、中央部に微細な滑り止めが刻んであった。この小さなギザギザがピニオンギアの穴に食い込んで、強固な固定を実現していたようだ。さすがにシャフトをただ刺しただけではなかった。

シャフトのギザギザ

 こうしてシャフトは抜けた。シャフトに刻まれたギザギザはとても小さいものなので、ピニオンギアの穴はほぼ真円で無傷だ。これならネジを切りやすい。ネジの規格はM3.5でいいだろうか。

<つづく>

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