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太田愛

 今日は日差しが雲に遮られて涼しい1日だった。もう夏も終わりかなぁ。この夏は1度も釣りに行かなかった。最後に魚を釣ったのはいつだ? 記録をたどると、なんと5月12日だ。3ヶ月以上前だよ。3ヶ月と言えば、1年の4分の1だぞ。アングラーのくせに、いったい何やってんだ。
 いろんなことがあったのさ。バイクの免許を取った。買ったばかりのバイクを乗り回した。ボート作りに熱中し、夏が来るまでにと完成を急いだ。でも今、バイクは転倒で入院中だし、ボートは8月中にさえ完成しそうにない。釣りに行くのと引き換えに、このありさまだ。
 でもね、何を隠そう、この夏一番心を奪われたのは、読書だったのさ。太田愛。すっかりファンになった。
 最初に読んだのは『天上の葦』だった。「今書いておかなければ書けなくなる」という作者の言葉に惹かれた。確かに読み応えがあった。そしてこの『天上の葦』がシリーズ3連作の3作目だと知って、当然、改めて1作目から読んだ。それが「犯罪者」だった。その次が『幻夏』。シリーズ全部、3作読んだ。おまけに『天上の葦』と『犯罪者』は上下分厚い2冊だ。
 推理小説なんか読んだの、ほんと久しぶり。面白かったねぇ。主役の3人組が個性豊かで魅力的なことに加えて、物語に注ぐ作者の眼差しがいい。展開や表現の仕方にちょっと荒っぽいところもあるんだけど、そんなのはどうでもいいんだ。推理小説なんだから、くどくど書かれるより、むしろストーリーの飛躍が小気味いい。
 こういうの、好きか、嫌いか。私は大好きだ。

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