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 リトリーブの途中、ルアーが何か軟らかいものにひっかかった。ぐにゅ。ゴミだと思ってロッドを煽ると外れた。ビニール片かなにかか? ところがその数投のちに、今度は針に引っかかったまま上がってきた。ヒイカというのだろうか、小さなイカだった。これって、大きなイカの子ども?
 また何か引っかかった。ビニール袋のような感触。そいつがものすごい勢いで走り出した。魚ではあるまい。頭を振っていない。エイの引きに似ている。でもその時思い浮かんだのは、イカの大物だった。小さいのを引っかけたのは別にして、私はイカを釣ったことがない。ジェット噴射による引きがどんなものか知らない。だからこれがそうなのかと思った。
 ドラグがジージー言って、鳴き止まない。イカってこんなにタフなのか? あるいはこれは、よほど大きなイカなのか? しかしそうではなかった。単なるフッコのスレ掛かりだった。背中に掛かっていた。
 あーぁ。だんだんしぼんでゆくよなぁ。2018年ももう終わりだぞ。いいのか、こんなことをしていて? 今年はヒラマサをさぼり過ぎだろう。1本も掛けてないじゃないか。こんなことしてる場合なのか? それにそもそもナイトゲームは嫌いじゃなかったのか?
 いや、いいんだ。今年、スズキ釣りが多少上達したのは、大きな収穫と言っていい。この歳にしてまたひとつ引き出しが増えた。目の前にスズキのパターンフィッシングの道が開けている。だから、もうそろそろいいんじゃないかな。いつまでも意地張ってないで、シーバスって言えよ。

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