波もないし、ヒラスズキはあきらめて、ビーチのスズキに狙いを定めた。
日のあるうちは、潮目で盛んにボイル。あれは何? そしてベイトは何? 見た感じサゴシがトウゴロウイワシを食っているように見えるのだが。ジグをいくらキャストしても無反応。ま、よくあることだ。
日が暮れるとジグをミノーに替え、本格的にスズキ狙い。いたずらに沖に向かって遠投するのではなく、シャローを意識してじりじりとポジションを変えていった。すると背後の暗闇にうっすらと人影。二人いる。若い男女か? 抱き合ってる。ちぇっ、そんなの無視、無視。黙々とキャストした。
最初のうちは男が何かをささやき、女がくすくすと笑っていた。それがだんだんエスカレート。あんなことやこんなことまでやりだした。おい、おい、こんなところでいったいどこまでやるんだ? 集中できないじゃないか。それに、何、この気恥ずかしさは? 出歯亀じゃないぞ。それともペッパー警部か? ちょっと古いな。
おっと、ヒット。フッコクラスだな。バシャバシャと思いっ切り音を立ててファイトしてやった。