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 とても親しくしている同僚のクロダイ師から、年内最後の釣行を誘われた。行く、行く。今、クロダイは、私の中では旬の魚だ。
「11時ぐらいからゆっくりと」ということだったので、早朝は単独でヒラマサ・チャレンジ。水温よし、潮よし、ベイトよし、の三拍子がそろったのだが、主役だけが不在。それじゃ、クロダイで頑張りますか。
 ポイントに連れて行ってもらうと、釣れる、釣れる。クロダイって、こんなに釣れるものだったのか。5、6枚釣ったら怖くなった。こんな大盤振る舞いをして、神様、あとでしっぺ返しの請求をするおつもりじゃないでしょうね?
 その後でヒットしたのがとんでもない剛の者。ずりずりとラインを出されて、目の前の根に持って行かれた。根際にラインが擦れてるのを何とかしろ。頼む、沖へ向かってまっすぐ走ってくれ。そう、そう、いい子だ。え? 根から離れてくれた? ありがたい。ダイレクトな魚の引きが戻った。今がチャンス。巻け、巻け!
 魚の姿が見えた。逃がすものか。絶対獲ってやる。そのときアンバサダー1500Cに異変が起こった。ガガガーッと鳴って、スプールが勢いよく逆転した。まさかカップのネジが緩んでる? そうではなかった。1500Cの泣き所、ピニオン・ギアのスプールとの嵌合部だ。摩耗している。けど、何もこんな時に・・・。
 とっさに1500Cの構造を思い浮かべた。そうだ、キャスコンだ。キャスコンを締めれば、スプールをピニオンに押し付ける効果があるはずだ。とは言っても、ベアリングの遊び分のコンマ何ミリ。効果はゼロではなかったが、十分でもなかった。
 くっそー、こうなったら、だましだましやるしかない。リールで巻き寄せるのはあきらめた。ポンピングだ。親指でスプールを抑え、ロッドで寄せ、テンションを緩めて、素早く巻く。それを何度も繰り返す。
 苦戦しながら、何とか獲れた。その後もピニオンの逝った1500Cで、クロダイを2、3枚追加した。釣ったクロダイはトータルで、私が8枚、同僚が4枚だった。でも、せっかくのクロダイがかすんじゃったな。

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