大物を掛けておきながら姿を見ずに逃げられると、「今のは何だったんだろう?」ということと、「どんなサイズだったんだろう?」ということが気になって仕方がない。幸い昨日は、2匹目に掛けた魚を取り込むことができて、その引きの似通った特徴から、1匹目もチヌだったに違いないとわかった。
でもサイズは? 1匹目は切られたのだから、獲れた2匹目の49cmよりも大きかったに違いない。きっと50cmオーバーだ。そう思うと悔しくて仕方がない。
ところが、その日の深夜、家に帰ってその魚を捌いた友から、驚愕のメールが届いた。胃の入り口付近から、私が使っているのと同じ釣り針が出てきたというのだ。添付の写真を見ると、金色のチヌ針。釣り上げた時には魚の上あごに刺さっていたから、出てきた針はその前に飲み込んだものに違いない。
もしかして、2回掛かったのは、同じ魚?
今日会社で、チヌ釣りの先輩に聞くと、そういうことは十分あり得ると言った。その説明によるとこうだ。
チヌは成魚になると縄張りを作るようになり、その付近で一番大きくて強い個体が他の個体を排除する。針にかかって危険な目にあっても、縄張りへの執着が強いから、逃げおおせた魚は遠くへは行かずに、もとの場所に戻ってくる。縄張りの主が釣り上げられて姿を消さない限り、他の魚は入ってこない。だから、同じ魚に違いない。今回のケースで珍しいのは、警戒心が強いはずのチヌが、たった1時間後に、懲りずに同じ針に食ってきたということだ。よほど食い意地が張っていたとみえる。
ふうん。こんなこともあるのか。驚いた。