私はなんて愚かだったんだろう。過乾燥に弱い樹脂製パーツがAW1に使われているのかどうか、わざわざニコンに問い合わせるだなんて。そんなことをするまでもなく、一目見ればわかるところに使われているではないか。それは裏ぶたのパッキンのことだ。
今日試したところでは、AW1の動画撮影による結露問題は完全に解決した。約1時間の撮影によっても、レンズはまったく曇らなかった。これでひとつ実証できた。結露はカメラ内の空気を除湿することで完全に防止できる。ニコンが売っている結露緩和用のNCフィルターなんて無用の長物でしかない。2重のガラスになっているが、そもそもその中の空気が湿気を帯びていて、それ自身が結露する。たいそう高かったのに、無駄な買い物だった。こんなものない方がずっといい。それよりシリカゲルAだ。ホームセンターで数100円で買える。これで解決するのだから簡単なことだ。
ところが、そのことに気をよくして磯から撤収するとき、浅瀬を渡った際にAW1を30cmほど水没させた。もちろんAW1は15m防水だから、これぐらいは何ともないはずだった。しかし裏蓋からあっさり浸水していた。最初は濡れた手で裏蓋を開けたから海水の滴が入ったのかと思った。家に帰って掃除機で吸ってみると、中から海水がどばどばと出てきた。なんだこれは? パッキンが効いていなかったのか? そして「あっ」と思った。シリカゲルAによる過乾燥のためにパッキンが縮んで、防水性能がすっかり失われてしまったに違いない。
そら見たことか。とっさに私はその責任をニコンに転嫁しようとした。でも、冷静になって考えると、実は私はこうなることをおぼろげながら予想していたのだ。だから「それでも大丈夫なのか?」とニコンに問い合わせたのだ。その答えが「レンズのお手入れ方法はお客さまの方法で問題ございません」だった。誰がレンズの手入れ方法なんか訊いたんだ。でもニコンの対応にはこれ以上期待できない。私はそこで諦めた。その結果がこのありさまだ。