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 最初にヒットさせたのは友だった。彼は腰を落としてしっかりとファイトしたが、主導権を握ることはできず、ヒラマサは根に潜った。今のは大きかった、と彼は言った。そのファイトシーンを私は動画に収めた。後日、ディスクに焼いて、彼にプレゼントした。その動画を彼は何度も見て、イメージトレーニングに励んだ。ヒラマサをやるには筋トレが必要ですよね、と彼は言った。
 話を元に戻す。友が敗北を喫した後、私もキャストを始めた。その数投後に、私にもヒットした。「でかかったね」「どの辺で出た?」としゃべっていて、少し油断していたかもしれない。だが、友の轍を踏むまい。根に潜られる前に上を向かせてやる。ところが、私の魚は少し小さかった。引っ張り合いっこは成り立たず、まだ元気なうちに手前の根に寄せてしまった。そして根の向こう側に貼りつかれた。ほとんど一瞬のことだった。
 とっさにリールのクラッチを切って、魚を沖に走らせようとした。ラインはドクンドクンと脈打ちながら出ていった。しかし根を巻いたような感触があり、何度かの試みののち、魚の感触は消えた。きっとこれはいつもの変わり身の術だ。フックはすでに外され、根に引っかかっている。
 諦めてラインを切ろうとした時、リールフットの溶接点の手前側が外れていることに気付いた。ちっ、またかよ。ここが弱いんだよな、最近のアンバサダーは。何とかしなきゃいけないな。
 こうして今シーズン最初のヒラマサに、私と友はそろって敗退したのだった。

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