動画撮影時のレンズ内結露を防止するために、カメラ内の空気をカラカラに除湿することを目論んでいる。まず、最初に得ておくべき知識は、どのような除湿剤が有効なのか、ということだ。
ネットで下調べをすると、一般的な除湿剤には大まかに3種類があることがわかった。シリカゲル、塩化カルシウム、酸化カルシウム(生石灰)である。このうち生石灰は吸湿時の発熱量が大きいと聞くので、安全のため除外する。
シリカゲルには2種類あり、AタイプとBタイプがある。Aタイプは飽和するまで限りなく吸湿し、加熱しない限り湿気を吐き出さない。Bタイプは、外気が乾燥しすぎると逆に湿気を吐き出し、適度な湿度を保つ。一般的にはカメラにはBタイプがいいとされているらしい。湿度を下げてカビを防ぎ、同時に過乾燥からカメラを守る。過乾燥がなぜいけないかと言うと、樹脂パーツが過乾燥により縮んだりひび割れたりするからだとか。しかし私の求める用途では、そんな生ぬるいことを言っていられない。断然、シリカゲルAだ。
さて、実験だ。シリカゲルAと塩化カルシウムのどちらがより強力な除湿剤か? まずは材料をそろえる。両方ともホームセンターで簡単に手に入る。シリカゲルAは、食品用乾燥剤のコーナーにあり、商品の形状はおなじみの小袋に入ったものだ。塩化カルシウムは、押し入れや下駄箱の除湿剤のコーナーにあり、商品の形状は、タンク型とスティック型がある。私はスティック型を買った。ほかにジップロックと安物の湿度計を買った。
ジップロックにそれぞれの除湿剤と湿度計を入れて密封し、二晩ほどおいた。この実験の結果は明らかだ。シリカゲルAは湿度3%程度までカラカラに除湿したが、塩化カルシウムは約15%どまりだった。したがって、より有効な除湿剤はシリカゲルAだ。
次に、私の所有するAW1やAW120は、過乾燥に耐えてくれるのだろうか? このことはニコンに訊かなければわからない。実はあらかじめ訊きに行ったのだ。4月24日、東京出張のついでに新宿の量販店に寄って店員さんに訊いたら「そんなことはニコンに訊けばいいでしょう。向かいのビルの28階に入ってますから」と言われ、そこへ行ってきた。その場所は、田舎のアウトドア派の私には場違いな、ハイソでエンスーな雰囲気が漂う、サロンのような場所だった。私は結露に苦しんでいる事情を説明した。できる限りクレーマーと思われぬよう注意を払いながら。しかし私は追い返された。「それは明らかに異常ですから、カメラをお持ちになってください。点検には90分ほどお待ちいただくことになります」。ちっ、ここへ来る予定ではなかったから、カメラを持ってこなかった。私はニコンに質問することさえできなかった。