この間のできごとで、最も不甲斐なかったのは、アンバサダー2500Cの自作ステンレス製ピニオンギア嵌合部が、またもやぽろりと外れたことだった。
磯に立ったその日は、とてもいい雰囲気だった。潮目の辺りで、海面が広範囲にざわざわしていた。カタクチイワシだ。あれがやがて捕食者に怯えて、磯にばらばらと乗り上げてくる。そうなればチャンス到来だ。実際、潮だまりには、数日前のものと思しきイワシの残骸が散らばっていた。
やっとチャンスに巡り合えたぞ。来るのはヒラスズキか、それともワラサか。念入りにドラグを調整しておこう。手でラインを引き出した。そのときガリッという感触とともにスプールが空回りした。やっちまった。きっとロウ付けが外れたんだな。これじゃ対戦できないよ。チャンスの到来を待たず、私はうなだれて、とぼとぼとフィールドを後にした。
家に帰って分解してみると、やっぱりだ。ロウ付けした部分は、しかし、どうやら破壊されたのではなかった。銀ロウが海水による腐食のためか、溶けてきれいになくなっていた。パーツの表面に銀の黒ずみだけが残っている。そうか、やっぱりこうなるのか。銀ロウって海水に溶けるんだね。メンテナンスをさぼったのがいけなかったかな。
このところ立て続けにリールを壊している。DECIDER7はレベルワインダー、レボはクラッチ、そして2500Cはピニオンだ。次はいったいどのリールを使えばいいんだ?