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 修業は続くよ、どこまでも。
 サクラマスへの道、その9。
 今日は朝から強風の中、逆にラインの番手を落として、6番タックルでやることにした。30年も前に買ったウエダのスーパーパルサーと、ABUのディプロマットだ。
 さぞかし苦戦するだろうと思ったが、肩の力が抜けていい感じだった。そうか、フライキャスティングって、力まかせにやらなくてもいいんだな。
 パシャッ。私のフライに反応して、セイゴが水面を割った。もう一度同じ場所にキャスト。またもやパシャッ。魚は何度でも水面を割って飛び出してくる。たくさんいるぞ、あっちも、こっちも。なのにいっこうにフッキングしない。ちゃんとフライを食っているのか?
 私は頭に血が上って、しつこく攻め立てたが、魚の方も相当しつこかった。私は「くっそー」とか「食えよ」とか叫びつつ、延々とキャストを続けた。魚は飽きもせず、私のフライにじゃれついてきた。まるで私に向けて自分の尻を叩いて見せているかのようだった。
 最後の最後に釣れたのはヒラセイゴ。思わず「お前だったのか!」と叫んだ。
 魚は1匹釣れてプラス10点だが、ティペットの結びこぶが8個もできて、今日の成績はトータルでマイナス20点だ。
 ここで問題だ。私のフライフィッシングは上手いから、あれだけ魚を出し続けることができたのか? それとも下手だから、いっこうにヒットさせられなかったのか? 私はフライをやるときはいつも独りだから、そこがよくわからん。

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