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フライ

 日曜日のことだ。ビーチで出航準備をしていたら、フライマンに声を掛けられた。私のボートを間近に見て、いっとき話が弾む。
 私がフライフィッシングに苦戦していることを知って、「使ってみてください」と、彼は手持ちのフライを3つくれた。むむ、巧いこと巻いてあるな、これ。やっぱりフライってのは、これぐらい精巧に巻かなきゃいけないね。
 沖に出て、「よし、さっそく」と思ったが、いただいたフライはアイつきのちゃんとしたフライフックに巻かれていたので、私のラインシステムでは使えなかった。(田舎じゃフライフックは手に入らないから、私は丸セイゴに輪っかをつけて、ティペットの輪っかと接続する。)
 これは使っちゃだめだ。無傷で持って帰って、フライを巻くときのお手本にするのだ。みろよ、この絶妙なバランス。適度なボリューム感だ。私が巻くとマテリアルてんこ盛りで、歪にくねくねと波打つ。もっとも、丸セイゴにはひねりが入っていることも、できたフライが歪む原因なのだが。
 昨夜、私はめらめらと意欲に燃え、今までに巻いた中で最高のフライを完成させた。うーむ、早くこいつを試したい。しかし明日の休日は、こいつは使わないつもりだ。別のことを試したいから。

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