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 朝の魚はばらしちまった。だけどまだ夕マズメがある。なぁに、終わり良ければ総て良しなのさ。今日1日を良い日にしようじゃないか。
 夕方6時。波は収まっていなかった。だけど、朝よりも潮が引いてる。タイトに根を攻めることができそうだ。少し移動しつつ、角度を変えて、根周りを攻める。
 その1投はロングキャスト。根の向こう側に落ちた。そこでズバン!と出た。
 ちょっといいサイズ。この魚は絶対獲る。朝の失敗の轍は踏まない。強めのテンションを掛け続ける。そうすると魚を沖で遊ばせず、早く寄せてくることになる。元気のいいうちに寄せてしまうと、足元で無茶に暴れられて、ばらしやすい。もっと沖へ走ってくれればいいのに。そうすれば沖で弱らせて、楽に取り込めるから。
 ズババ、ズババとエラ洗いを繰り返し、魚はみるみる近づいてきた。こうなったら、ばれる前に取り込んでやる。短期決戦。こいつはひやひやものだ。頼むぞ、ばれるなよ。
 まずい。またもやエラ洗いしたとき、リーダーに海藻が絡まっていた。いやな予感。その瞬間、ふっとテンションが抜けた。
 くっそー、なんてこった。またかよ。もういやだ。やめてやる。釣りなんかやめてやる。アングラー廃業だ。
 うそ、うそ。逆だよね。こんなことがあるから、ますます釣りはやめられないのさ。

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