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 祈るような気持ちでキャストを続けた。そしてその祈りは通じた。満潮直前の7時過ぎ、最後の1発が来た。
 しかしそれは渡り合うまでもなく、あっという間にフックが外れた。このときばかりはフックのせいではない。魚の活性が落ちて、食いが浅くなっていたのだ。
 それから1時間以上、虚しくキャストを続けた。しかしもはや沖のボイルも消えた。こうしてチャンスは私の目の前を通り過ぎて行った。待ってくれと追いすがった私の腕をすり抜けて。
 もう体力の限界だった。5時間ぶっ続けでキャストし抜いた。これでもよく頑張った方だ。見える範囲のポイントからは、とっくにアングラーの姿は消えていた。彼らは沖のボイルに気付かなかったようだ。今日のカギはあのボイルだった。見える範囲に鳥なし、ベイトなし。あのボイルに気づくことがなければ、今日は気配がないと早々に退散しただろう。
 もっと技を磨こう。今日は負けだ。でも、チャンスに気付かず、勝負さえしなかった者よりは、勝利に近い場所に立っている。

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