ヒラマサなんか釣れない。でも、磯に立った。案の定、イワシもいない。カモメもいない。
あれは? カモメほどの大きさの鳥が、ちょっと沖の上空で、パタパタと忙しく羽ばたいている。あの鳥、やけにスピードがあるな。と思ったら、翼を半ばたたんで、海面めがけて急降下した。イワシでも見つけたのか?
しかし再び上昇し、またもや海面めがけて急降下。なんだ? 何をやっているんだ? 海面に何がいるのかと思って目を凝らすと、小鳥が海面すれすれに飛んでいた。
あ、ハヤブサだ。ハヤブサが逃げ惑う小鳥を襲っているのだ。こんな場面に出くわすなんて、なんてスリリングな。
わかったぞ。小鳥は海面すれすれに飛ぶことによって、ハヤブサの攻撃をかわそうとしているのだ。なるほど、小鳥も知恵だな。ああやってハヤブサのスピードを封じているに違いない。勢い余って海面にダイブってわけにはいかないからな。
ハヤブサは急降下を繰り返すのだが、小鳥もすばしこい。追いつ追われつ、岬の向こうへと姿を消した。
追われていた小鳥はたぶん写真の鳥だ。海岸にいつもいる。
君の名は? ネット上の鳥類図鑑で調べた。ハクセキレイ。きっとそうだ。