水平線
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月

 月の明るい晩だった。明日は休み。やるなら今夜だ。
 それは前々からの計画だった。自分の身体にどれだけの体力と気力が残されているのか、試してみたい。仕事が終わってから翌朝までの耐久キャスティングゲーム。狙いはスズキ。で、体力にものを言わせて朝まで頑張れば、スズキは高確率で釣れるのだろうか? そうだとすれば、時合いは何時ごろなのか?
 だけど、午前3時を少し過ぎた時点でギブアップ、リタイアした。必ずしも体力や気力のせいではなかった。寒さのせいでもなかった。リールのせいだ。
 アブガルシアのディサイダー7にPEライン0.8号を巻いた。ノンシンクロ・レベルワインダーのロープロリールと細いPEラインの相性は最悪だ。バックラッシュ連発でラインがプチプチと切れる。なぜこんなにバックラッシュが頻発するんだ? キャスト時に動かないレベルワインダーのせいだな。これだからロープロは嫌いなんだ。そう思ったら集中力が尽きた。
 ところで、肉眼では月面で餅つきするウサギがはっきりと見えるのに、カメラに写らないのはなぜ? おまけに月がかすんで見えるのは? 本当は空気が澄んで、空が高く、月の輪郭はくっきりしていたんだけど・・・。

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