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 予報では波の高さ3mだった。フィールドに立つと、それほどでもなかった。大きな、ゆったりとしたうねりが、深呼吸をするようにやってきた。どう考えてもヒラスズキ向きの日じゃないな。ときどき広がるサラシにミノーをぶち込んでも、ノーヒット。こんな日にブリ属が来てくれないかな。
 沖で何かが白い飛沫を立てた。なんだと思って目を凝らした。まただ。よくボラがあんなふうに紛らわしい飛沫を上げるが、あれはボラじゃない。とすると“ジュロク”の出番か?
 パープルイムズの赤木さんから、ずいぶん前に2つ送ってもらっていた。だけど、投げて巻くだけでもルアーは傷つくから、ここぞというときのために温存しておかなければと思い、これまで使いそびれてきた。今ではもう売り切れで、どんなに欲しくても手に入らないそうだから、なおさら無駄に傷めるわけにはいかない。でも、今日は、使ってみようかな。家にもう1個あるんだし。
 K−tenをジュロクに変えた。このポッパーは、引きが軽く身体に負担がかからない。以前、赤木さんにそう言ったら、「それも意図したことの1つ。使いやすく設計した」と答えてくれた。
 ヒット。あんだけミノーを引き倒してもヒットしなかったのに、ジュロクに変えた途端、ほんの数投目だった。今日はジュロクの日だったんだな。

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