水平線
最初
最新
目次

 なぜサイトに動画をふんだんに取り入れようと思ったかというと、春に偶然撮影したこの動画がきっかけだ。
 目の前にワラサのボイルが広がった時、私のロッドはすでに折れていた。ボイル発生の初めにウミガメをかけてしまって、焦ってロッドを立て過ぎたのだ。そこでパキンと真っ二つに折れた。だから私は指をくわえて釣りをあきらめ、カメラを構えて動画を撮影することにしたのだ。しかし目の前のボイルは長く続いた。こうなったら折れたロッドで立ち向かうぞ。長さは半分、ガイドはたった2つ。全くしならないから、遠心力でぶん投げる。
 その間、カメラはストラップで首にぶら下げた状態だった。留め金が1ヶ所にしかないタイプだから、それは首の下で大きく暴れた。スイッチは入ったまま。ずっと録画は続いていた。
 ガツンとヒットしても、ロッドティップが失われているので、きわめてフッキングが悪い。しかし、抜けてもすぐに次のヒットがあった。ボイルに気持ちが昂り、フッキングの悪さへの焦りが加わって、ハァハァと息が上がり始めた。そしてなんとか80cmオーバーのワラサを仕留めることができた。「ダルーッ」と何度も息を吐いた。
 その動画を後で観て思ったのだ。これじゃ何が映っているのかわからないが、それでもこの臨場感は面白い。ストラップの留め具を左右2ヶ所にして、もう少しカメラを安定させれば、何とかなるんじゃないか?

水平線