このボートで初めてのトラブル。不用意に浅瀬に乗り上げて、スクリューのシャフトケースがメリッと割れた。そこから脱出しようとしてペダルを逆回転させたら、プロペラにフライラインが巻き付いた。フライラインは切るしかなかった。
まだ午後3時、夕マズメ前に釣り終了。いやいや、それどころではないだろう。ボートが損傷しているのだ。遭難する前に、直ちに岸に帰らなければ。幸運にも、大した苦労なく、岸にたどり着いた。
ガレージに帰ってから、ギアのクロスピンを抜いたら、割れたケースが外れた。その状態でペダルを回すと、剥き出しになったシャフトの先が円を描いて、大きくぶれている。重症だ。でも逆に言えば、シャフトさえ元に戻せば、修理は可能だ。
歪んだシャフトを、満身の力を込めて逆方向に推したら、今度はそっちへぐにゃりと曲がった。なんだ、直径10mmのステンレス棒って、こんなにぐにゃぐにゃなのか? 押せば曲がって、いっこうにまっすぐにならないぞ。
壊せ、壊せ、どんどん壊せ。そのたびに修理して、私はますます賢くなってゆくから。
だけど、フライタックルはもう使えないぞ。8番のフライラインを買いに、高速バスに乗って東京まで行かねば。これはまたルアーでやれという神様の思し召しに違いない。
「だから、わしゃ知らんて」