水平線
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 台風が通り過ぎた後の、雨上がりの林道。こんな日にはイノシシと出会えるぞ。というか、この季節、あの林道を走ると、ほぼ毎回見かける。
 ほら、やっぱりいた。親子連れだ。だけどウリ坊は1頭だけ? イノシシは多産のはずだから、1頭だけということはないんじゃないのか。もしかして、1頭しか残らなかったのか? 子どもを食い殺したのは、オオカミ? それとも、ヒョウ? まさかね。きっと人間だろう。罠にかかったんじゃないかな。お母さんイノシシ、悲しみを乗り越えてきたのか。
 その後、再び雨が降り出した。路面がじっとりと濡れる。そこを、滑らないように、慎重に進む。
 ところが私は失敗した。轍の間の盛り上がった泥を踏んで、足払いを食らったように、すってーんと転倒した。私もバイクも無傷というわけにはいかなかった。
 私は膝を擦りむいた。バイクは、タンクにざっくりと深い傷。そしてハンドルがねじ曲がった。
 前輪を電柱に打ち付けて、フォークのねじれを戻す。2度目だから、慣れたものさ。
 でも、タンクの傷はどうしようもないな。といっても、CB250Rの一見タンクと見えるものは、実はプラスティックのカバーで、ほんとのタンクはその中にあるんだけどね。だから転んでも、ほんとのタンクは無事なのさ。でも、まあ、たとえカバーであっても、こんなにざっくりと傷がつくと、心がへこむけどね。

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