ずっと魚にありつけなかった。悔しかったのは先々週だ。悪条件の中、友人は良型のメジナをぽつりぽつりと釣った。私はかすりもしない完全ボウズだった。なんで? 納得のいかない私に友人は言った。「魚の活性が低くてほとんど口を使わないのに、針が大きすぎるんじゃないですか?」
そうなのだ。どんな外道が来ても逃がすまいと、私は欲張って親指の先ほどの針を使っていた。ところが友人は小指の先ほどもない小さな針だ。そうか、その差が出たのか。
職場の名人にそのことを話すと、にやりと笑った。「針の大きさじゃないよ。ハリスにガン玉打ったろ? そのせいだよ」。「待ってくれ。ハリスにガン玉打って、しっかり沈めろと言ったのは、師匠、あなたではないか」。「魚の活性の高い、暖かい季節ならね。だけど、この季節は違うんだ」。
どっちが正しいんだ? わからない。だったらいいや、両方やってやる。小さな針にガン玉なし。おまけに、コマセにアミエビも混ぜてやる。これでどうだ。
好きな外道はあきらめて、本命一本に絞ったメジナ狙い。すると、メジナも釣れたが、外道も釣れた。
41cmの石鯛。なんか、おれ、この魚好きだ。