あのヒラマサはそれほど大きくはなかった。こっちを向かせて水面に引っ張り上げようとしたら、魚体に重さがなくて、もんどりうって水面から飛び出してしまった。そして着水したと思ったら、今度は身を翻して疾走した。その瞬間、ＰＥ４号が「バッツン！」と音を立てて切れたのだ。
そのとき脳裏に浮かんだ言葉は「神の操作」「ハードボイルド」「これからも管理人と地獄に付き合ってもらう！」だった。いったい誰の影響だ？
いやいや、神のせいではない。自分のせいだ。タックルのメンテナンスを怠ったのがいけなかった。なぁーに、それだけのことさ。決してスランプなんかではないぞ。
ただね、必要なものを全部そろえようとすると、高速道路を使って、街まで出なきゃならないのさ。一日仕事だ。だからずっと先の分まで買いだめしておいた。
これで準備は整った。せめて年内にいい魚を獲りたいものだ。