水平線
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 なにかがいた。水面が大きく炸裂していた。あっちやこっちで。どれも単発。なんだ? イナダじゃないな。ヒラマサか?
 ダイビングペンシルを引きまくった。デロンとまとわりつく感じで一度出た。乗らなかった。ミノーに替えた。ヒットした。スズキだった。おまえ、なんにでも化けるな。ヒラスズキにも化けるし、ヒラマサにも化ける。色が茶色かったから、一瞬、カンパチかとも思ったぞ。
 少しは満たされて、帰ろうとした。砂浜を歩いていると、向うの磯でカモメが大騒ぎ。イワシかなにかの魚群がいるようだった。行くしかあるまい。ところが、魚群の足が速くて、追いつけない。もと来た東へ、東へと移動した。なんだよ、逆戻りか。だったら、待ってればよかったのに。
 結局、またもとの磯に戻って、そこで諦めた。カモメの群れが海面をつつきながら、ずっと東へと移動して、やがて視界から消えた。もう走れない。とても追いつかないよ。しかたがない、残った魚でもいないかな。
 釣れはしたけど、ヒラセイゴだった。ま、釣れただけましか。

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