水平線
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 年内最後の休日。午後からスズキをやりに堤防へ行ったが、海水の透明度が極めて高く、底までくっきり見通せた。知り合いの常連と言葉を交わす。「水、ずいぶん透き通ってますね」「それなんだよ。だから何にも釣れないよ。スズキもダメ、アジもダメ。釣れるのはキンギョばかり。昨日もこんなで、暗くなっても、いるのはセイゴぐらいだった」。「ふうん、セイゴか。じゃ、ビーチへ行って、フライでやろうかな」
 ビーチでなら、人がいないから、フライロッドを振り回せる。それにあそこはセイゴの集まる場所でもある。セイゴはすばしっこいから、フライで釣るのは難しいけど、かと言ってあんなチビ、ルアーで釣っても面白くない。フライタックルは5番のフローティングライン、ウェイトフォワード。今日はそれほど風が強くないから、これでいけるだろう。
 ビーチへ行って、石積みの堤防の先端に出た。水面で小魚がライズしている。あれはトウゴロウイワシかな。だったら暗くなるころにセイゴが来そうだな。元気のいいところを見せてくれそうだ。
 日が傾いたころ、ヒットした。まだ早いと思っていたけど、食ってくるじゃないか。ところがそれは途中で外れた。しまった油断した。もっと速く手繰らないと、ラインテンションが緩むんだな。その次のキャストで、またヒット。今度は逃がさないぞ。と思って急いで手繰り寄せ、抜きあげたら、そいつはアジだった。久しぶりにアジをフライで釣った。これが今年最後の魚かな。

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